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『戦争における「人殺し」の心理学』 [本]

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■ビンラディン容疑者殺害:暗号名「ジェロニモ」 殺害へ訓練重ね

国際テロ組織アルカイダの最高指導者、ウサマ・ビンラディン容疑者を
殺害した米国の秘密作戦の詳細が米メディアによって明らかになった。
同容疑者を暗号名「ジェロニモ」(白人の侵入に抵抗した先住民族
アパッチ族の戦士)と呼び、米海軍の特殊部隊「シールズ」が、潜伏先
を模した施設で数週間にわたり強襲訓練を重ねた上での突入だった。

※「毎日jp」より
http://mainichi.jp/select/world/news/20110504ddm001030016000c.html
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この記事を読み、以前読んだ本のことを思い出したので、
ちょっと紹介してみたい。
その本のタイトルは『戦争における「人殺し」の心理学』。

出版社である筑摩書房のWebサイトの紹介文には、次のようにある。

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本来、人間には、同類を殺すことには強烈な抵抗感がある。
それを、兵士として、人間を殺す場としての戦場に送りだすとはどういうことなのか。
どのように、殺人に慣れされていくことができるのか。
そのためにはいかなる心身の訓練が必要になるのか。
心理学者にして歴史学者、そして軍人でもあった著者が、戦場というリアルな現場の
視線から人間の暗部をえぐり、兵士の立場から答える。
米国ウエスト・ポイント陸軍士官学校や同空軍軍士官学校の教科書として使用されて
いる戦慄の研究書。
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480088598/
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第二次世界大戦において、米軍兵士の発砲率は15〜20%。
しかし、この発砲率はベトナム戦争では90〜95%にまで上昇したという。

第二次世界大戦では多くの兵士が敵に向けて銃を撃つことが
できなかったというのは驚いたが、
「本来、人間には、同類を殺すことには強烈な抵抗感がある。」という
前提と、当時の訓練内容や、実際にインタビューした軍人の言葉など
からの考察には、説得力がある。

また、第二次世界大戦での教訓から、
優秀な兵士、すなわち「上官の命令に従い、確実に敵を殺せる兵士」を
効率的に製造するために研究を重ね、科学的な根拠を訓練に取り入れる
ことによって、ベトナム戦争では飛躍的に発砲率が高まった。
これはつまり、教育と訓練の積み重ねによって”殺人マシン”を大量に
生み出すことが可能になったということである。

ただし、ベトナムの帰還兵には、トラウマに苦しむものが多くいた。
そのため、ベトナム戦争での教訓から、心理面でのケアを重視するよう
になったという。

だが、これは、「敵を殺した兵士が戦後、トラウマに苦しむことがない
ように」するもので、一見、人道的な配慮に思われるが、
裏を返せば、人間が「容易に人を殺し、容易に平常時に戻れる」ように
するための措置であり、
「殺人マシンと人間との境界線がどんどん曖昧になっていく」ことでは
ないだろうか。

本書では「敵にコードネームを付け、非人間化する」ことも有効な手段
であるとしている。
要は、「敵も自分と同じ人間である」という意識を希薄にさせ、兵士が
殺人命令を実行しやすくするというものだ。

今回、「ジェロニモ」と名付けられたビンラディンは、
研究を重ねて練り上げられた教育・訓練プログラムに従って養成された
兵士によって、ビジネスライクに殺害されたのであろうか。


最後に1つフォローをしておく。
本書は、あくまでも”研究結果”を著したものであり、人殺しを容認
するものではない。
ましてや「読むと人を殺したくなる」本では断じてない。

人殺しの抵抗感をなくすための研究は、同時に、どのような状況の時に
抵抗感を感じるのか、という点についても理解することができる。

本書を読んだおかげで、
もし自分が強盗犯などに遭遇してしまった場合、少なくとも、敵の殺意
を助長するような行動は取らないだろう。


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